西日本豪雨災害支援ボランティア参加者による座談会(6/7ページ)

伊藤 ほかに被災地で問題になっていることはありましたか?

梶井 がれきや土砂などの災害ゴミの処理が問題だと感じました。災害時、もの凄い量のゴミが出るなかで、集積場所を確保して、運搬して、処理・焼却するためには多くの清掃職員が必要ですよね。今回広島に行って感じたんですけど、自治体の職員が少なかったと思います。

青池 あのあたりは市町村合併で、区役所なんかもものすごく人員が減らされてしまって、り災証明書の発行も滞ってしまったりだとか、清掃業務も委託されちゃって、災害時の集積場所も確保できなくなったりとか、保育園も行けなくなって子どもたちが他の園に分散するんだけど、保育士不足のもとでそれも対応できなくなってるなんて話を聞きますね。

杉岡 そもそも平常時の仕事もぎりぎりの人員配置で頑張っているなかで、それとは別に災害の対応なんて、その自治体だけじゃ絶対無理ですね。別の自治体が手を差し出すことが、とても重要だと思いますよ。

福島 災害時の対応って、自治体のなかでも、課によって温度差があるところがありますね。

杉岡 倉敷の真備に物資を届けに行ったんだけど、そのときに現場の水道課の人とかは不眠不休で動いているんだけど、ほかの部署を見ると普通に仕事していたりして、役所のなかでものすごい温度差を感じて、あれ?って思いましたね。

伊藤 災害対応はものすごく大変で、でも日常業務に穴を開けるわけにもいかないし、おまけに混乱のなかで災害用の人員体制に組み直すこともできなくて、そのまま…ということなんでしょうか。

青池 被災自治体では、1カ月の時間外労働が200時間を超えているような職員もいるらしいです。皆さん方は大丈夫ですか?

杉岡 困るよね。危機管理課なんてどうしたらいいかな。

伊藤 きっと大変ですよね。

杉岡 容赦なくね。そうなったらよその課に助けを求めるしかないけどね。

青池 もしこの静岡で災害が起こった場合、皆さん方の職場はどうですか?災害に強い自治体になっていますか?
浜松市は市町村合併や施設の統廃合で、山間部のほうでは施設自体がなくなってしまってますよね。支所もほとんど職員がいなくなってしまいましたし。そこでもし災害が起きたらどうなっちゃうんだろうって思いますよね。
島田市もそれこそいま臨時・非常勤職員の包括委託の話が出ていて、こんなふうに民間にどんどん業務を受け渡していったら、いざ災害のときにどうなっちゃうんだろうって思いますね。

梶井 災害時も自治体職員なら柔軟に動けると思います。

青池 民間業者だとまず動かない。

杉岡 動けないんじゃないですかね。何をやるにしても、自治体からの仕事って制約が多くて、なかなか動きづらいじゃないですか。災害時に向けていま島田市でも民間業者と協定とかいろいろ結んでいるんですけど、そうしないと民間業者も動けないんだと思います。自主的には動けないですよね。

梶井 災害現場では、作業の要領や段取りがわかっている自治体の現業職員が主に立ってやらないと対応できないと思いました。

伊藤 災害時に市民から「どうにかしてくれ」と要請が来たときに、行政がどう対応していくのかが課題なんですが、それぞれの職場でどれだけ問題を把握できているのか、懸念があります。

杉岡 その「どうにかしてくれ」をできる限り減らすのが、うちの課の仕事なんだよね。だからいざというときになるべく困らないよう、普段から事前指導をしておく必要があるんだよね。

福島 なにかあれば防災担当課や災害対策本部頼りになりがちだけど、広島の実態を見て、それでは現場はまわらないということを感じましたね。

伊藤 非常時における各課の連携が重要ですね。

杉岡 災害時にもっと融通が利くような体制づくりをしてほしいって思いますね。

青池 融通が利く体制って、どういうことですか?

杉岡 たとえば、建設の部署に作業をお願いしたら、「それはうちじゃなくて、水道に言えよ」ってなるんじゃなくて、「ああ、そうか。困っているなら、うちの職員を何人か使っていいよ」っていうような柔軟性がほしいですね。普段の仕事もそうですけど、災害のときは特に市全体で考えて、使える人員を動かしてほしい。型にとらわれすぎないで、イレギュラーな案件にも対応できるようにしていく必要があると思う。

伊藤 災害は常にあるものではないけど、常にいつかあるものだと考えないといけないので、自治体職員として普段から意識しておかなければいけないことがたくさんあると思います。まず自分自身を守ることから、災害時に自分が成すべき仕事を常に確認しておくこと。そして、よその課やよその自治体など、いろいろなところとの連携を大事にしていかなければいけないですね。

 

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災害とどう向き合うべきか、少しずつ課題が見えてきた

 

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