世界に報道Washingtonpost

ムダづかいで袋小路の日本

静岡空港のムダづかいが、アメリカ・ワシントンポスト紙11月9日付で、第二東名とともに報道されました。世界から見ても、静岡空港のムダづかいは注目されていることがよくわかる記事でしたので、ここに静岡県に関わる部分を訳します。

ムダづかいで袋小路の日本(出口の見えない日本、行き詰まりの日本)
地方公共事業政策が経済の回復力を弱めている

Waste Puts Japan on Road to Nowhere; Pork Barrel Politics Keep Weak
Economy From Bouncing Back

アントニー・ファイオラ
ワシントンポスト・海外担当

富士市(日本)−城内ひさしさん(70)は、数十年にわたって富士山の裾野で米作りにとりくんできた。きびしい農作業の合間、木造の農家にそびえる雪をいただいた優雅な山頂に、しばし手を休め、山に向かって、ほっと息をつくのである。


ところが、3年前、何世紀も日本のシンボルとして知られた、彼が見てきた富士の眺望を、この島国で新たな、そしておよそ美しさとはほど遠いシンボル、選挙区むけ開発事業がさえぎってしまったのである。


数々のクレーン、フォークリフト、セメントのミキサー車が、自宅越しにひろがる緑の草原に押し寄せ、批判的な人々からは“金権政治の王様”と呼ばれている新しい高速道路のコンクリートの梁で地平線を覆っているのだ。830億ドルを超える経費(それぞれ23、000ドル相当の装飾用の格子やアルミニウム製あるいはステンレス鋼製の電話ボックスも含まれている)がかかる、「新第2東名高速道路」がすでに運行され、過去3年間、一貫して交通量が減少している高速道路と平行して通ることになるのである。


「役にも立たない高速道路の土台を見ると、無駄なことを、と心の中で泣いてしまいます」と城内さんはこういって、手入れのゆきとどいた日本庭園ごしにアーチ状に伸びる梁を指さした。「わたしたちは金権政治のサイクルにはまってしまったのです。単にわたしだけじゃなく、わたしたちみんが代償を払っているんです」。


第2東名についてエコノミストは、13年間にわたる経済不安から逃れ、補助金づけ政治の巨大な温床にたいする大きな構造改革をおこなおうとしている日本が直面するもっとも深刻な問題のひとつである指摘しているのである。


もしも日本が豚肉の国と仮定すると、静岡県(東京から東南約120キロに位置)は品評会で一位をとる豚であろう。

ほぼ20年間、370万県民の知事職は、政府の建設官僚にとっての回転ドア(天下り先)であった。地元で高速道路を批判する人々によると、これが、約290キロに及ぶ高速道路にかかわる他の地方自治体が東京と国内で4番目に大きな名古屋市を結ぶ第2東名が、ここでは全速力ですすめられている理由のひとつだ。約290キロに及ぶ高速道路にかかわる他の地方自治体が、国の委員会がその必要性について評価した結果、一時的に建設速度を落としたにもかかわらずである。

その高速道路(第二東名のこと)は、すでに運行されている高速道路と並行することとなり、いくつかの地点では、わずか1マイル半(2.4キロ)しか離れていない。また2000年に交通量のピークを示して以来、減少し続けているのである。第二東名が完成するかどうかだれにもわからないが、静岡県は2百万ドルを追加支出し、高速道路を結ぶ新たな道路網を建設するとともに、インターチェンジのそばに15個所の新たな工業団地を建設するために62万ドルを支出したのである。

富士市から東へ約1時間、静岡県の東部の海岸近く(ママ)で、17億3千万ドルをかけた新空港のため、ブルドーザーが土を掘り返している。県内で最も人口が密集した地域から1時間の所に空港は位置するが、この地域の住民にとって、東京と名古屋に現在ある3つの空港への移動がわずかに30分短くなるだけだ。当初の計画では年間500万人の乗客利用見込みを見積もっていたが、航空労組の最近の調査では、35万人の見積もりとなっている。この数字が正しいとすれば、計画通り2006年に開港すると、この空港はたちまち財政危機に陥るだろう。

この空港は、公共事業の失敗に対する国への批判を一身に集めるものとなり、国への土地売却を拒んでいる4件の農家を全国に知らしめた。彼らの小さなお茶とミカンの畑は、ブルドーザーで滑走路や空港建物用にならされた他の土地から取り残されたが、南は沖縄から、北は北海道の1600人を超える人々が、それぞれ90ドルもだし、土地の共同所有者となり、県が土地収用をすすめることをより複雑にしている。

「私の土地を取り上げるということだけでなく、彼らがその土地で私たちの税金を使って無意味な空港を建設したがっていると思うと、耐えられないのです」と大井としみさん(44)はいう。かれは747機用に整地された土地に囲まれた小さな茶畑でがんばる4人の農民の1人だ。「政治家と建設業者がこの国を廃墟にしている。今、私たちがこれを阻止しなければ、かれらは日本にセメントしか残さないだろう」

写真

空港用地収用とたたかう、トシヒコ オオイ、ヨシヒコ マツモト、マサル マスダ、セイイチ ナカムラ各氏。静岡県(東京から南西75マイル)