特別鼎談「災害に強い自治体をつくるために」(4/9ページ)

菊池 こうした災害はこれからもまた起こりうることだと思いますし、自治体の職員はこれまで災害対応の経験がないなかでもことにあたっていかなければならないことになると思います。こうしたなかで問題になってくるのが、先ほどから話に上がっている、自治体の人員は足りているのか、十分な体制は取れているのかということだと思います。
災害対応を行うということは、普段の自分の仕事があるなかで、急に別の仕事が飛び込んでくるということ、それも一時的なものではなくて、復旧・復興を含めて長いスパンで対応をしなければならないということになります。
こうしたなかで、あらかじめ自治体として、あるいは職員として心構えや、こうあるべきじゃないかというものが、これまでの経験のなかで何かありますか?

村山 そうですね。心構えというか……先ほど杉岡さんが話されていたように、それぞれの部署でできることには限りがあります。正直、私も今回のことがあるまでは、災害が起きたら防災の担当課の人たちが全部お膳立てをしてくれて、そのあともフォローしてくれて……自分たちも担当課の関わりは当然あるとしても、防災の担当課がある程度まとめ上げてくれるものなのかなと、個人的に勝手に思い込んでいたところがあるのですが……。

杉岡 (苦笑)

村山 でも実際は先ほど話にあったように、防災の担当課の人たちは防災の担当課の役割があるなかで、やはり現場の対応はそれぞれの担当課に任されるというか――今回は農地のことだったので、私たち産業課が動くことになりました。とはいえ、私たちは技術職ではなく一般事務職なので、復旧させるには当然工事や設計など土木作業を行う一方で、私たちには技術的な知見というのがそんなにないものですから、そうなると普段土木などを担当する技術職の人たちの知見を借りての対応が必要となり、土木関係の職員にもいっしょに現場に詰めてもらいました。当然土木関係の職員にはこうした水害や風害などに関して基礎となる知識がありますから、こうしたとき部門間の連携が重要なんだということをとても感じました。

倒木で塞がれてしまった林道(伊東市池地区)

今回の災害で、実際の被災現場では、技術職の職員にもいろいろ関わってもらい、私たちも当然できることは協力しあって――それぞれの役割と、自分たちにできることは何なのかを自覚しながら、お互いに密に連携を取ることの必要性を感じました。また、情報の連携についてもさまざまな面で協力してやっていくことを、それぞれ意識を持ちながら行動することが大事なのだと学びました。
現実問題として、「人を寄こして」と言っても今日明日で急に人員が10人も20人も増えるわけがないですし、情報についても自分たちの情報だけでは足りない、むしろ他の部門や外部のほうがいろいろな情報を持っていることがあります。こうした外の方々のサポートで事態が好転するということがありました。だから、自分たちでやれることを精いっぱいやる一方で、外部とのネットワークをうまくつないで、物事にあたっていく意識をみんながそれぞれ持つことが大事なのかなと思います。

 

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復旧復興に現業職員の力が不可欠

 

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