品川開業で羽田空港アクセスはより便利に

県の需要予測、ますます実感とほど遠く

品川駅開業に伴うダイヤ改正の内容が明らかになりました。県は新需要予測をつくるとき一応品川開業を前提としたのですが、ここでも「静岡空港を有利に、羽田空港を不利に」の原則は貫かれています。しかしそれはあまりに露骨な前提条件の設定なので、具体的にどの程度のものかを実証してみます。

まず県が新需要予測において羽田から搭乗までの時間を、どの程度に設定したかを静岡市を例にとって見てみましょう。(数字は分数です)

静岡−9.4(アクセス)−15(乗換)−静岡−81(こだま)−品川−15(乗換)−8(京急)−京浜蒲田−10(乗換)−10(京急空港線)−羽田空港−60(乗換)−搭乗

合計208.4分

かかっています。

ところが今回、

(1)県は、ひかりは品川に停車しないことを前提にこだまでアクセスを設定しましたが、静岡に停車するほとんどのひかりは品川に停まることが明らかになりました。これは県が設定した羽田空港の評価便数(実際の45便を間引いて評価)に匹敵する数です。

(2)県は、1時間に6本もある羽田直通の京浜急行を利用せず、わざわざ京浜蒲田で乗換をさせてアクセス時間を長くとっていました。しかし現行の直通特急よりもさらに短縮され、14分で羽田まで行けることが明らかになりました。

さらに、

(3)県は、羽田空港到着後の飛行機への乗り換え時間を他空港よりも20分長く、60分とっています。これは、「京急羽田空港駅から受け付けカウンターまでの移動にかかる実測時間、混雑する中での受付待ち時間、セキュリティ待ち時間等の推計から見込んでいる」(第4回事業評価監視委員会配付資料「静岡空港の需要予測結果に関する県の考え方 」より)からであるとしています。しかしそもそも他空港の40分は全国の空港のリムジンバスの到着時間と航空の出発時間の差を平均したものです。したがって手続にかかる時間を採用したわけではないのです。しかし羽田は別格です。モノレールや高速鉄道から直接空港ターミナルへ移動ができ、それらの交通機関は数分おきに発着しています。つまりこの40分が妥当(もっと短くていいという意味で)かどうかも検討しなければなりませんが、今回他空港なみの40分として計算します。

すると、

静岡−9.4(アクセス)−15(乗換)−静岡−48(ひかり)−品川−15(乗換)−14(京急)−羽田空港−40(乗換)−搭乗

合計141.4分

(さらに羽田の乗換時間を20分とすると121.4分となり、静岡市から静岡空港まで同様の時間である県の試算、108分とほぼ並ぶことになります。)

なんと県の需要予測の採用時間と、実態を反映させた時間では、67分差が出てきます。実は、県は先の「県資料」の中で、京浜急行を乗り換えなしの直通を利用した場合、どの程度静岡空港の需要が減るかを「感度分析」しています。品川から羽田まで乗換をして28分かけていたものを直通20分に、8分間短縮しただけで、静岡空港の需要は約1万人が減りました。これが67分だったらどうなるのでしょうか。この条件だけ変えても県の予測は100万を割り込む可能性は十分あります。

これらの事実から確実にいえるのは、県の需要予測は、ますます県民の実感からかけ離れたということです。

こうした事実に基づかない需要予測では県民を説得できませんし、ましてやこんなデタラメな数字をもとにして強制収用に値する事業であるとは決していえません。