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〜札幌便16万8千人を50万人に水増し!そのカラクリを暴く〜 |
1. 11月12日、石川県知事は建設中の静岡空港の未買収地について、土地収用法に基づく強制収用手続に踏み切る方針を表明した。今後、県は国土交通省に対し事業認定申請を行うものとみられるが、土地収用法は「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」(法第20条第3号)「土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること」(同第4号)等の「各号のすべてに該当するときは、事業の認定をすることができる」と定めている。すなわち、静岡空港建設が、憲法で保障された個人の財産権を上回る公益上の必要がある場合でなければ事業認定を行うことができないのである。
2. 静岡空港建設の「公益上の必要」を判断する最も重要なものは「需要予測」である。今年3月、国土交通省は事業継続を決定したが、その前提は、県の国内線年間106万人とした「需要予測」である。106万人の需要があれば、投入した費用に対し効果がそれを上回る(費用対効果=1.3)と判断したからである。もし、費用対効果が1.0となる86万人を下回る「需要予測」であったならば事業は継続されなかったはずである。
3. 私たちは、県が土地収用法適用の手続に入るにあたり、あらためて県の「需要予測」を再検証した。その結果、県の106万人という需要予測の数字は、事業を継続させるために大幅に水増しされたものであることが判明した。からくりは主に次の2つである。第一は、需要予測に際して用いられた航空データの改ざんである。県は平成12年度全国幹線旅客純流動調査当日の数字を悪天候のため「特異値」であるとして、平成7年度のそれを用いて補正した。そのために、静岡県と全国の間の航空流動量は年126万4千人となり、国が補正して確定した数値の91万4千人に比して、約35万人もの水増しとなっている。第二は、旅行者の空港選択にあたって、試算の前提条件である運賃設定やアクセス方法・時間設定、就航予定便数等を「静岡空港には有利に、羽田・中部国際には不利に」設定した点である(別紙概要参照)。
4. これら2つの水増し条件を是正し再試算した結果は次のとおりである。まず、県が「特異値」として避けた平成12年度全国幹線旅客純流動調査の数字について、国の確定値(91万4千人)を使用した場合、106万人の「需要予測」は79万2千人となった。この時点ですでに費用対効果が1.0を下回り、事業の「公益上の必要」は存在しないことになる。特に県需要の柱である札幌便については、航空データ改ざんにより約97%水増しを行ったうえで、羽田より安い往復運賃やアクセス時間の操作でさらに51%増となっている。その結果、本来16万8千人足らずの札幌便が大型機就航に必要な50万人まで膨れあがった。県が予測する札幌便50万人はまさに「絵に描いた餅」であり、達成は絶対不可能である。参考までに、運賃設定・アクセス等について「会」が前回示した札幌便の「感度分析」補正率(地域別空港選択確率で対県需要予測比−33.8%)をベースにして国内4路線を単純推計すれば、需要予測は52万4千人まで落ち込む。この数字は、空港設置許可当時の178万人の1/3以下であり、もはや静岡空港は公共事業の体をなしているとはいえない。当然のことながら、土地収用法による私有財産の強制収用などは論外である。
5. 現時点での上記再試算は時間的制約のため、未だ大つかみの数字である。「会」としてはより詳細な検討をひきつづき行い、後日発表することとしたい。なお、これからの再試算にあたり、県に対して@「航空経路選択モデル」式に設定したすべての地点からのアクセス交通手段別の所要時間、費用A羽田と中部国際の各地点における評価便数についての情報を開示するよう要求する(もし、県がこれらの情報開示を拒むのであれば、106万人の「需要予測」はやはり「はじめに結論ありき」だったと言わざるを得ない)。わたしたちは、今後とも県の恣意的な「需要予測」の再検証に全力をあげる決意である。
以上
静岡空港・建設中止の会