| 静岡空港が、NLP(米空母艦載機による夜間発着)訓練の候補地に? |
検証シンポの中で、静岡空港が米空母艦載機による夜間発着訓練(NLP)の候補地にあがっていると発言がありました。中止の会で調べたところ、毎日新聞の記事がヒットしたので掲載します。
有事法制とも絡み、きな臭いニュースです。

【3】NLP誘致:
水面下の交渉 町長に猛反発 広島・沖美町
2003.02.04
米空母艦載機による夜間発着訓練(NLP)を厚木基地(神奈川県綾瀬市など)から、広島県沖美町の無人島に移転する計画は3日、同町議会が一転して誘致の白紙撤回を決め、移転は困難な状況になった。何とか移転を成功させたい防衛施設庁、町の活性化を目指して誘致を進めた沖美町長。ともに反発をおそれて水面下で進めたやり方が、逆に反発を招いた。 【宮下正己、和田崇】
3日の沖美町議会全員協議会。白紙撤回を求めた町議の一人は、谷本英一町長に「これからは、この問題は扱わない」と宣言した。「周辺3町との合併抜きに、町の活性化はない。誘致しては、のけ者になる」
町議会は先月30日の谷本町長の誘致表明を受けて、いったんは防衛施設庁に誘致要請書を提出することを決めた。しかし、藤田雄山・広島県知事や周辺自治体から猛反発が起きた。4町で合併協議を進めるうちの大柿町の平口武町長は「我々が住む島まで、騒音被害で無人島にする気か」と批判した。
別の町議は「要請書はあくまで、NLPの勉強や(厚木への)視察のために必要な文書という程度の認識だった」と内幕を明かした。
「今ここで断ち切らなければ、町長の思うつぼだ」。誘致に反対の意向を示さなかった議員たちも、次第に反対に回り、8人が白紙撤回に賛同した。
防衛施設庁が三宅島以外の移転先について本格的に検討を始めたのは2年ほど前だった。00年に起きた三宅島の噴火に沈静化の兆しが見えず、米軍側も火山ガスを危惧(きぐ)し、仮に収まっても再発の可能性がある。一方で国は、厚木基地騒音訴訟の第1〜2次で相次いで敗北していた。
水面下で別の移転先が模索された。伊豆諸島の無人島、建設中の静岡空港、新滑走路を工事中の岩国基地などが候補に挙がった。相模灘での大型浮体式建造物の建設構想も出た。が、騒音や地元感情などの問題が立ちはだかった。
そこに昨年1月、沖美町の谷本英一町長から「NLPの誘致にどんな補助金制度があるのか」と話が舞い込み、施設庁は飛びついた。候補地の大黒神島は無人島。騒音問題を最小限に抑えられ、大部分は町有地で用地取得も難しくない。
谷本町長は「米軍施設の建設に伴う国からの交付金を利用して、町民が肌で感じる活性化を実現したい」と考えていた。
昨年末の町人口は4125人。ピーク時の半分以下だ。65歳以上が人口の35・1%を占める。01年度の町財政は歳入約31億7000万円。うち75%を地方交付税などに依存する。町債残高も34億円を超える。
施設庁は「三宅島の二の舞いは避けたい」と計画を進めた。三宅の場合、政府は85年、村議会の陳情を受ける形で島へのNLP移転計画を表明した。だが直後に村で反対の声が強まり、計画は中断。関係者は「早い段階で計画が表面化したうえ、国主導という構図になって反発を招いた面がある」と振り返る。
施設庁は沖美町移転のプロジェクトチームを設け、厳しくかん口令を敷いた。町との調整も水面下で慎重にあたった。県や周辺自治体との調整は、町から正式な誘致要請を受けた後に回した。
実際、町長が誘致構想を藤田知事に明かしたのは今年1月28日。町議会全員協議会に初めて諮った1月30日のわずか2日前だった。
沖美島への移転は頓挫したのか。周辺の反対に加え、2日夜には町民有志が「沖美町の生活を守る会」を結成し、反対署名活動を始めた。同町の松井晃助役は「町長リコール(解職請求)に発展しても、おかしくない事態にまで来ている」と危機感を募らせる。
ただ、町議会は一枚岩ではない。誘致に理解を示す3人程度の議員は白紙撤回要請について「全会一致ではない」と話しており、谷本町長の説得次第では、議会が分裂する可能性もある。
谷本町長も、毎日新聞の取材に「施設庁との協議や、議会との調整も必要だ。年度末までには(町議会の)議決として決定出来るよう努力したい」と話し、誘致の考えは変わっていない。
施設庁のある幹部は「基地問題は一朝一夕にはいかない。町の動きを見守るしかないが、まだ望みが途絶えたわけではない」と語る。最後のチャンスとの思いが強い施設庁も、長期戦の構えだ。
厚木基地周辺の住民らは3日、沖美町議会の白紙撤回要請を「予想された結果」と冷静に受け止めた。
第3次厚木基地騒音訴訟団の真屋求(もとむ)団長は「町は政府のパフォーマンスにうまく乗せられたのだろう。冷静に判断すれば白紙撤回は当然。政府は移転に真剣に取り組んでほしい」と語った。また、基地が市域にある神奈川県大和市の土屋侯保市長は「重い選択であり、曲折は予想された。引き続き国に抜本的な問題解決に向け取り組みを求めていく」とコメントした。
もともと住民には、NLPが移転しても騒音が解決するわけではないという思いがあった。昨年9月に政府が初めて公表した厚木基地の管制実績では、99〜01年の航空機の離着陸回数は、年間で約5万6000〜5万8500回にも達した。だが、それには米軍と海上自衛隊が通常訓練として昼夜実施する「タッチ・アンド・ゴー」やNLPは入っていなかった。
大和市上草柳7の主婦(45)は「たとえNLPが移転しても、厚木基地が存在する限り爆音被害は続くでしょう」と話した。 【長真一】
[毎日新聞2月4日] ( 2003-02-04-00:47 )