2003年06月22日
静岡空港 住民の意思を聞くべきだ

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 地方空港の6割以上で需要予測を利用実績が下回りながら、必要性に疑問のある空港の建設が続く。静岡空港も、甘いといわれる同県の算定でさえ採算ぎりぎりだ。それでも工事が進む。

 静岡空港は同県が80年代後半に計画し、93年から事業を本格化させた。同県中部の台地に大型機も発着できる2500メートルの滑走路を設ける。総事業費1900億円、2006年度中の開港予定だ。

 国や自治体はいったん始めた公共事業を、疑問があってもやめない。同空港建設にはそうした問題点が凝縮している。

 第一の疑問は需要予測である。95年当時、7路線で年間国内乗客数を178万人と予測したが、00年は6路線で121万〜128万人、今年4月には4路線で97万〜109万人と修正した。同県は100万人を空港を維持管理する採算点としている。空港建設に疑問を持つ住民団体は、県の算定方法が恣意(しい)的だとして、70万人という厳しい予測を示した。このまま開港すれば赤字は避けられない。

 バブル期に計画された公共事業の中には、需要が伸びるとみて始めたものが少なくない。今になれば、税金の無駄遣いや赤字のたれ流しと批判される。需要予測は、社会経済情勢の変化に即して機敏に見直し、事業を続けるか否かの判断に反映されるべきである。

 反対運動が起きた神戸空港の場合、95年から7年経て初めて見直し、需要予測を下げた。それでも算出根拠が甘いと指摘される。

 第二は目的だ。静岡県は「空港を成功に導く三つの重点戦略」を今年3月にまとめた。事業開始から10年も後に、必要性を論拠付けるやり方は逆立ちしている。「アジアの物流戦略の拠点に」とか、イベントや国際会議を誘致するための「機能の整備」をあげたが、なんら目新しくない。空港建設に行政が引きずり回されている。

 第三が住民の意思である。川崎市は地下鉄建設で、市民1万人のアンケート結果を尊重して延期を決めた。事業は住民の意思を無視して行われてはならない。

 静岡では01年6月、空港反対派が求めた建設の是非を問う住民投票を、推進派の石川嘉延知事も約束した。だが翌月の知事選で大勝すると、県議会が投票条例案を否決、民意は確かめられていない。

 当時、毎日新聞などの世論調査で、過半数は石川知事を支持する一方、建設中止も求めた。既に静岡県は巨額の借金を抱えた上に、危急の時のため蓄えた基金も取り崩す財政状態だ。知事や議会の独断ではなく、川崎市のように住民に意向を聞く必要がある。

 空港があれば、県民の利便が机上の計算では増す。しかし、同県には新幹線と東名高速道が走り、第2東名の建設も進む。05年には中部国際空港ができる。交通機関が競合した時、航空会社は何便飛ばすだろう。

 国と県は近く空港の再評価を下す。少子高齢化が一層進み、需要は飛躍的に伸びない。後世に無用なツケを残さぬよう、中止する勇気を持つことも必要だ。

(毎日新聞 06-21-23:42)