静岡空港建設の事業継続の結論に抗議する

県、106万人の需要予測に自信なしを露呈

2003年7月31日
静岡空港・建設中止の会

7月31日、第7回静岡県事業評価監視委員会が開催され、「意見を付けて継続は妥当である」ことについて、了承されました。

●最初から反論など聞く気がなかったのでは
6月20日、委員会から会へ、需要予測についての県の見解の反論を文書でするように要請を受けて、反論を提出したにもかかわらず、7月16日の委員会の中でこれについての質疑や県の再反論は全く行われず、傍聴者に対して私たちの反論は配られることもされませんでした。
これは内容の是非以前の、たいへんに礼を欠く態度であり、許されることではありません。建設中止の会をはじめとした反対派の意見も聞いたというアリバイづくりのためにやったとしたら、最初から反論など聞く気がないということを認めたことになるではありませんか。

●核心の運賃議論を避ける
また県が提出した文書での反論も、たいへんお粗末なものです。今回いちばん争点となるべき運賃問題でも、県の主張の核心である「地方空港が高く、羽田・名古屋が最も割安な空港という事実はない」という見解を、私たちは反論の中で事実をもって否定しました。それに対してまともに再反論しないのは、その見解に対して自信がないことの表れだといわれても仕方がありません。
また「県として想定しうる範囲で感度分析も行った」としていますが、それが「補足資料」で示された「航空運賃の感度分析結果」とするならば、「現在の静岡空港、羽田空港、中部空港の運賃設定値のうち、最も高い・低いものを超えない範囲とする」という、全体の議論にとって何の意味もない分析です。静岡県ともあろうところが、需要予測上の利用者数の減少を恐れるあまり、まともな感度分析を実施しなかったことは、「どちらの前提条件の設定が正しいのか」という入口をふさいだという意味で、県民の目を閉ざすものです。
需要予測をめぐる委員の議論も、一部に良心的な議論があるものの、「需要をめぐる反対派との議論は不毛な感じがする」「政策的シナリオについても妥当である」など、自らの使命を放棄したとしか考えられない議論が続きました。とくに原田委員は、その理由も示さないまま県の需要予測の前提条件を是としたことについて、学問的良心を問われることであり、そしてそれを受け入れた向坂委員長の責任は大きいといわざるをえません。

●事業評価監視委員の責任は重大
もし私たちの需要感度分析による利用者数が70万人以下とすると、県民が注目する100万の採算割れの事業となり、またさらに費用便益比が1.0を割る分岐点の86万人を下回る事業となり、事業中止の対象となりうるものであり、決して「不毛な議論」ではありません。知事がいうような「70万人はものすごい評価」(6月27日付静岡新聞)ではなく、空港が建設中止となる数字です。しかも県が「地方空港が高く、羽田・名古屋が最も割安な空港という事実はない」ということについて、出所の不明な航空関係者の「公開を前提として伺ったわけではない」(7月16日県提出資料より)という一般論の話を根拠にして、その重大な結論に導かれる可能性がある議論を抜きに、「事業の継続」が決められたことは、委員会の大きな怠慢です。この根拠に県が自信があるならば、航空関係者を参考人として喚べたはずですし、喚ばなかった委員会は県の側について結論を下したといわれても仕方がありません。これらの議論を避けたが故に、結果的に、委員会は県の106万人という需要予測が正しいということを、県民の前に明らかにすることができませんでした。これらは、これまでの公共事業批判の中で「公共事業の事業評価における客観性及び透明性を確保するため」に設置された「事業評価監視委員会」の目的を踏みにじる行為です。個々の委員は、本来委員会が果たすべき責任放棄したということと同時に、もし万が一空港ができたときの県民に対する経済的な損失についての責任を大きく問われることになります。

●この結論をもとにした土地収用法適用は正当性がない
このような県民の実感からかけ離れた議論の結果、県が土地収用法の適用を申請することは断じて認められません。ましてや事業認定において「公益上の必要性等について、国の審査を受けることになるが、県としては、事業認定申請が認められるものと考えている」(「空港はいらない静岡県民の会」の意見書に対する県の考え方P8)ということを臆面もなくいっています。このような粗雑で県民無視の議論をしていて、「公益上の必要等」を県が主張できる資格などありません。
私たちは、今回の事業評価監視委員会の下した結論に厳しく抗議するとともに、まともな議論を避けた県の態度を、静岡空港建設事業に対しての自信のなさと考え、今後ますます空港建設中止に向けた運動に邁進することを決意するものです。