| 県の「地方空港が高く、羽田・名古屋が最も割安な空港という事実はない」に反論する |
私たちは、6月11日の第4回静岡県事業評価監視委員会で、県の私たちに対する不当な見解に対する反論を、事業評価監視委員会に送付しました。
2003年6月15日
静岡県事業評価監視委員のみなさまへ
静岡空港・建設中止の会
| 「静岡空港の需要予測結果に関する県の考え方について」をどう見るのか |
真摯に県民の視線から県の事業をチェックされる姿勢に敬意を表します。
さる6月11日の第4回静岡県事業評価監視委員会で、私たち静岡空港・建設中止の会の新需要予測等の見解、「静岡空港の需要予測結果に関する県の考え方について」(以下「考え方」)を示しました。
県は、私たちがその場において口頭で反論できないことをいいことに、都合のいいデータを羅列させ一方的に説明をしてきました。これらは誤解にもとづくものではなく、意図的に自分たちの「県民の実感からかけ離れた新需要予測」の正当化を図るものです。
私たちが、県の需要予測について「県民の実感からかけ離れている」と断言したのは、県内各都市から札幌へ行くのに選択する空港として、
| 静岡 | 羽田 | 中部 | |
| 静岡市(仕事) | 98.0% | 2.0% | 0.0% |
| 静岡市(観光) | 92.6% | 7.4% | 0.0% |
| 浜松市(仕事) | 97.3% | 0.0% | 2.7% |
| 浜松市(観光) | 89.7% | 0.0% | 12.1% |
| 三島市(仕事) | 74.9% | 25.1% | 0.0% |
| 三島市(観光) | 49.8% | 50.2% | 0.0% |
と、県民の生活実感では考えられない確率となっているためです。ところが県が「考え方」の最初で出してきた各都市からの選択確率は、
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| 静岡市 | 70% | 30% | 0% |
| 浜松市 | 74% | 6% | 19% |
| 三島市 | 29% | 71% | 0% |
となっています。一つの路線で、このぐらいならまあ妥当かなと思ってしまう数字(それでもまだ過大なのですが)です。

これはどういう数字かというと、委員会の中で伊藤委員が指摘しておられましたが、県内各都市から北海道全体へ航空を使っていく数字なのです。なんとまぎらわしいのでしょうか。つまり羽田空港を選択する数字の中には、旭川空港、女満別空港、釧路空港、稚内空港、帯広空港、函館空港へ行く数字も入っているのです。静岡空港から飛ばない空港も入れた数字で比較しており、決して札幌便に対しての比較ではありません。もし「県内主要都市と各空港の選択確率」というならば、札幌便の利用に対する選択確率で比較するのが筋ではないでしょうか。県は、わざわざ紛らわしい数字を出して、静岡空港の選択確率が県の需要予測で以下に低く見えるか、他の空港もそこそこ選択されているのかを演出しているのです。
こうまでして都合のいいデータだけ見せてなぜ説明しなければならないのでしょうか。考えてみましょう。
1 なぜ県は、「主張に一貫性を欠く」「感度分析といえるものではなく、妥当性を欠く」と感情的なまでに声高に叫ぶのか
(1) 私たちの感度分析について 県は、目的をねじ曲げて反論
県は、「考え方」の最後のところで2ページにもわたって私たちの感度分析について、「主張に一貫性を欠く」「感度分析といえるものではなく、妥当性を欠く」と感情的なまでに声高に叫んでいます。
私たちがなぜ「感度分析」を行ったかでいえば、その前提の説明で「県が2000年度に出した県の前回の需要予測の手法(私たちが2001年11月の静岡空港専門家委員会で参考人として反論)で、今回の県が設定した前提条件である運賃、アクセス時間を計算したものと、会が提案した運賃、アクセス時間との比較により、需要予測にどの程度の影響があるかを明らかにするため、感度分析を行う」としています。
また委員のみなさまにも、県にもわたっている文書の中で「会として需要予測を正確に求めることが目的ではなく、需要予測にとって価格と時間の設定の影響がいかに大きいかを明らかにし、県に対して需用予測のやり直しを求めることが目的である」と説明しています。
こちらが感度分析は古いモデルであり、「需要予測を正確に求めることが目的でない」とことわっているにもかかわらず、それを県が承知の上で、ことさら悪い印象を植え付けようというねらいです。
県が「考え方」のABCでいっている中身は、私たちが前提として明示していることなのに、それをあたかも鬼の首でも取ったように反論しているのは、少々大人気ないのではないでしょうか。
(2) なぜこうまでする必要があったのか
それは、わたしたちがねらいとした「需要予測にとって価格と時間の設定の影響がいかに大きいかを明らかにし、県に対して需用予測のやり直しを求めることが目的である」ということがいちばん恐ろしかったからです。
わたしたちが、いちばん問題視している運賃の議論を極力さけたかったからです。
ちなみに県が私たちの指摘した問題点の中で条件を変えて利用者数の減少を見る感度分析をしているのは、
@「こだま」を「ひかり」に 0.8万人減
(「考え方」のP13に見るとおり、時間が10分短縮しているが、アクセス費用は、470円増えている。また羽田での乗換時間は、静岡空港40分に対して、60のまま、据え置いている。そしてこの影響を受けるのは、静岡と浜松等の利用者のみで、全体に対する影響は小さい)
A京急の乗換を直通(1時間になんと6本)に 1万人弱
(時間的には8分短縮のみにとどまるのに加え、一定の割合で存在するバス利用者(静岡から仕事で24%、観光で42%)は除外されるため、影響する人たちの範囲が少ない。しかしそれでも1万人も減少するのには驚きました。)
B自動車へのアクセスを横浜ICに変更 0.3万人
(空港の乗換時間を他空港並みの40分でなく、60分で計算。)
といった微々たる項目です。つまりそれを算出してもさして問題がないと思われる項目は感度分析を行っているのです。
私たちが指摘した前提条件の中で、いちばん影響の大きいと思われる項目、
@低すぎる静岡空港の運賃
A浜松から中部国際への自動車のアクセス
B評価便数
ではいっさい感度分析を行っていません。
もしあれだけの字数をとって、私たちの感度分析について声を荒げて古いモデルで古いデータと批判するならば、どうぞ新しいモデルで実施してもらいたいと思います。運賃につての感度分析は、県がこれまで実施したケースが複雑な3つとは違い、データを一つ書き換えるだけで技術的には簡単にでます(逆に言えば簡単なものを実施せずに、複雑なものを実施したのです)。私たちの感度分析を批判しているのに、なぜこれらの項目の感度分析をやれないのでしょうか。
なぜか、
これらを計算すると減少する度合いが並はずれているため、その結果の影響をいちばん恐れているからです。
(3) 運賃の正当性の議論は避けて通れない
私たちは、運賃をどう決定したかがこの需要予測の中で大きな問題と考えています。私たちが古いモデルと断った上で(新しいモデルでできるほど、県は情報を公開していません)、自分たちの感度分析を行った理由はここにあります。私たちの運賃に対する考えを、県の説明を受けてもう一度述べます。
私たちはこれまで、通常運賃について、
(1) 原則としては、運賃は距離に比例する
(2) 大都市、需要が多い空港は割安である
これは規模の経済により整備や機材繰りの面で一定の合理的な運営ができるためと、競争の原理が働くためであろう。
(3) 近距離の運賃は割高に、遠距離の運賃は割安になる
航空のコストの中で、大きな比重を占めるジェット燃料の消費が、主に離陸と着陸により、飛行中は相対的に消費が少ないということか。
と、説明してきました。
これに対して県は、
(1)については、これまでの県の説明では妥当としている。
(2)について、県は「地方空港が高く、羽田・名古屋が最も割安な空港という事実はない」といいきっています。よくこのように言い切ったと感心するくらいの物言いですが、これは今後、さまざまなところで引用されることとなるでしょう。ともかくここは全面的に意見が違うことがわかりました。
(3)については、県は匿名の航空関係者の言葉を借りて、「過去の経緯から北側は割高となっている」とこれだけでは何をさすかわからない説明(「北側」?どこの「北側」?)しています。どうやら前後の文脈や委員会の県の説明から「周辺の空港との競合関係等を勘案して設定」となっていますので、「北側」というのは、日本海側の競争がない空港という意味なのでしょうか。東北の太平洋側はこれに入らないのでしょうかねえ。
というように、(2)(3)のところでは、見解が食い違っています。
まずはたして「地方空港が高く、羽田・名古屋が最も割安な空港という事実はない」といえるのでしょうか。
次ページのグラフをご覧ください。これは札幌便のキロあたりの運賃と、距離を比較したものです。

はっきりと二つの分布が読みとれるのではないでしょうか。ひとつは、鹿児島から始まって、松山、岡山、小松、福島、新潟、仙台とつらなるライン。もうひとつは、福岡から始まって、広島、大阪、名古屋、羽田とつらなるラインです。前者は第二種空港や第三種空港で、いわゆる「地方空港」といわれる空港。後者は第一種をはじめとして需要の多い第二種がならんでいます。ここでいえることは、大都市や需要の多い空港は、安い運賃設定ができるということです。ほんとうに「地方空港が高く、羽田・名古屋が最も割安な空港という事実はない」のでしょうか。
私たちは、静岡空港の運賃について、明確に前者のラインに属すると考えます。
つづいて、那覇便を比較してみましょう。
札幌便とは同じかたちのグラフになりますが、北と南がはっきり逆転しています。その中でも、やはりはっきりと二つのラインが見えます。鹿児島、宮崎から始まって、小松、福島、仙台へと至るライン、そして福岡、大阪、名古屋、羽田という大空港ラインです。「地方空港が高く、羽田・名古屋が最も割安な空港という事実はない」ということは、はっきり否定されます。静岡空港の運賃設定は、どう考えても羽田や名古屋の運賃設定のラインではおかしいのではないでしょうか。
しかも航空会社が言っているとされる「北側は割高な運賃設定になってといる」ということも、はっきり否定されるではありませんか。那覇便において、「南側」が割高になっている事実が浮かび上がります。
県が「考え方」の中で示していることでは、全く説明ができません。私たちがこれまで述べてきた通常運賃の原則、(1) 原則としては、運賃は距離に比例する、(2)
大都市、需要が多い空港は割安である、(3) 近距離の運賃は割高に、遠距離の運賃は割安になるが、これによって証明されるのではないでしょうか。

つづいて、私たちが札幌便で示したものと同じグラフを見てみましょう。このグラフを見ても、名古屋、静岡、東京の距離と運賃が他の空港に比べて大きく離れています。静岡空港の運賃の設定があまりに低いのが見て取れるのではないでしょうか。しかも「南側」の便と比べてもです。
このような不公正な運賃設定をしたために、静岡空港の需要予測は、たいへん過大なものになったことはまちがいありません。
委員のみなさんの真摯な議論を期待しています。

(4)「航空会社」の参考人招致を
私たちは県の説明を聞いたとき、不思議に思ったのは、さかんに「航空会社は」ということがでてきていることです。航空会社一般として県は言っていますが、どこの誰という特定はありません。
しかし私たちのような素人が指摘しても航空会社が言っているされることの中に矛盾があると考えられる以上、ほんとうに航空会社がそのように言ったのかどうか、たいへん疑問であると考えます。委員会が参考人として呼ぶ必要があるのではないでしょうか。
また、たとえば「周辺の空港との競合関係等を勘案して設定することが一般的」と航空会社は言っているのですが、それについてもたいへん疑問があります。大阪、広島と競合関係にある岡山の運賃設定、仙台、東京と競合関係にある福島、富山と競合関係にある小松の運賃設定は安く設定されているのでしょうか。それでもそうだと言い張るならば、東京、名古屋という大都市の需要が多い空港の「競合関係等を勘案した」運賃を、静岡空港が設定して商売としてやっていけるのかどうか、路線を開設できるのかどうか、ぜひ委員会によって参考人を招致する中で検証していただきたいと思います。
もっとも県が、税金から補助金を出すから「競合関係等を勘案した」運賃を設定してほしいと質問していれば別ですが・・・
県が「考え方」で示した各論点は、全面的に反論できるものです。しかし限られた時間の中で、私たちは、その中でいちばん重要であると考える通常運賃について反論してきました。
今後他の論点については質問状というかたちで、県に対して残りの部分のことを質していきたいと思います。
2 県民の視線で議論されることを再度望みます
あらためて委員会にお願いするのは、この需要予測の問題、全県民が注目しています。ぜひとも県民の視線でこれを議論されるよう、結果を出すようお願いします。