ほんとうに週34便、海外へ飛ぶと確約できますか?

「空港反対の県民はハシカ患者」
「デマ宣伝」という証拠示せず


石川知事は先の6月県議会の答弁で、「きわめて偏った、あるいは、うそとしか思えない情報が、どういう原因かわかりませんが、県内各方面に、いうなれば蔓延するという状態で広まっており、反対を示す方々の中に」「誤った情報をもとに判断をしている方々が非常に多い」とのべました。知事は、正確な情報を流せば「ハシカのように空港反対の機運に傾いている方々も必ずや目覚めてくれる」と、まじめに県政を考える県民を病人扱いして失笑を買いました。
その中で知事がもっとも強調していたのは、「静岡空港から海外へ行けない」と「静岡空港・住民投票の会」が宣伝しているというのです。私たちは過去のビラやパンフレットをすべてあたってそう書いてあったのかどうかをチェックしましたが、どこにもそのような記述が見あたりませんし、知事も「ここに書いてあるじゃないか」という物証も示すことはありませんでした。だから「どういう原因かわかりませんが」といわざるをえないのでしょう。

国際線は「期待がもてる」路線 必ず飛ぶ路線ではない
しかも国土交通省にも届出なし


しかしその後が問題です。県や知事が「海外へ行ける」と大宣伝を始めました。県のHP等でで、「国内線は北海道や沖縄に1日17便飛ぶ予定になっている。国際線は一週間にグアムやハワイなど34便も飛ぶ予定があるんだよ」といっています。ほんとうに海外へ飛ぶと確約できるのでしょうか。
県はさまざまな空港を宣伝する機会に、国内便と国際便を同列に扱っています。しかし1999年の9月議会の企画生活文化委員会で、そのとき野俣空港建設室長は「国際定期便を就航させたいというときのどの路線を想定しているかについても、需要予測をしているわけではないので具体的には持っていない」「大体片道15000人の年間の利用客があれば週3便の国際線定期便が可能とされており」「平成8、9年の海外渡航者の実績で、15000人を上回っている韓国、香港、シンガポール、グアム、タイ、ハワイ、中国は期待できるかなと考えている。特に我々が航空会社から伺っている範囲で意欲を持っているところは期待がもてるところと思っている」というのです。つまり国際線の就航は、「期待がもてるところと思っている」にすぎないし、「飛ぶことが決まっていない」のです。
ちなみに国土交通省の許可を受けるときには、需要予測については一切国際線の説明をしていませんし、その後経済成長率の変化による需要予測を変更したときにも、それを届け出ていません。国に届けてもいない計画だということです。

静岡県の海外出国者40万人(県が例示した行き先には21万人)
その人たちが全部静岡空港を利用と計算


次に需要予測です。県は、海外へは9路線(ソウル、台北、シンガポール、北京、香港、グアム、上海、バンコク、ホノルル)、週34便、年間40万人前後が利用するといっています。これは静岡県の海外出国者が年間40万人、上記の9地域への旅行者は約21万人しかいないのに、その人たちが全部静岡空港を利用するんだという需要予測に基づいているのです。これは神奈川、山梨、愛知の各県が静岡空港を利用する空港圏域に含まれていることからくるものです。よく知事が引き合いに出す、東北地方の空路の中心をにない、3000メートルの滑走路をもつ仙台空港すら7路線、38万人(2000年度)の実績しかないのに成田、名古屋、羽田に近接する静岡が9路線、40万人だというのです。これだけでも県の需要予測は過大なものだといわざるをえません。

静岡空港の滑走路は2500メートルです。370人乗りのエアバスクラスの飛行機が就航できます。たしかにホノルルやシンガポールに飛ぶことができますが、そこまで行くためには燃料を大量に積まなければなりません。ほんとうに採算のとれる定期航路となるのでしょうか。「期待がもてるところと思っている」というのを「飛べる」というのなら、十分説明をしてほしいものです。
見てきたようにほんとうに「誤った情報」「デマ宣伝」を流しているのは、だれなのでしょうか。ほんとうに34便、海外へ飛ぶと確約できるのでしょうか。しっかりした説明をしないと、後々県に対しての信頼感を失うことになりかねません。

補論 仙台空港は静岡空港とどこが違うか
仙台は1000万人の人口がバック


県はよく仙台空港を引き合いに出します。静岡県の3分の2の人口で、しかも名古屋、大阪という大都市をのぞけば200万人の利用があるというものです。だから静岡空港も、東京、大阪には飛ばないが、他の航路だけで大丈夫というものです。
しかし静岡空港と仙台空港では、その性格がかなり違います。確かに県の人口で較べれば、静岡県は380万人、宮城県は200万人です。しかし仙台市は東北地方第1の大都市であり、東北6県、1000万人の人口がバックにある都市であることはまちがいありません。したがって仙台空港は、宮城県の人だけが使うのではなく、近接する岩手県、山形県、福島県の、秋田県の人たちも大いに使う空港だということです。
仙台へは、岩手、秋田、福島は新幹線で直通に行けますし、仙台市を一山こえればすぐ山形県であり、社会的にも地形的にもたいへん一体感があるわけです。
宮城県は、近接する岩手、山形、福島の合計人口の半分しかいませんが、これら3県の4空港の利用者合計よりもはるかに利用が多いのです。近接した県から利用者が集まってきていることがはっきりわかります。それに較べて静岡空港は、羽田、名古屋に県内の利用者を分けることになり、全く状況が違うわけです。
また仙台空港の特徴として、北海道と堅く結びついているということがあげられます。仙台空港から新千歳、旭川、釧路、帯広、函館、女満別の6空港に約80万人の人が利用している特徴があります。東北地方と北海道との結びつきを示すものです。静岡にたとえるなら、関東地方や中京地方との結びつきであり、それは十分新幹線で行くことができるものです。
県は仙台と静岡を引き合いに出していますが、違いに目をつぶって都合のいいところだけを強調しているといわざるをえません。