需要予測感度分析
運賃、アクセス時間を是正すると70万人の利用者しかない

1 前提
県が2000年度に出した前回の需要予測の手法(私たちが2001年11月の静岡空港専門家委員会で参考人として反論)で、今回の県が設定した前提条件である運賃、アクセス時間を計算したものと、会が提案した運賃、アクセス時間との比較により、需要予測にどれだけの程度の影響があるかを明らかにするため、感度分析を行う。

新需要予測との前提の違い
◎ 便数の多寡を反映していない
◎ 業務目的、観光等の目的の割合が違う
◎ ゾーン分けとして県は74市町村、私たちは18ゾーンに区分けした(当時ゾーン分けについては公開されていなかった)。
◎ 鉄道のみのアクセス
したがって利用者数そのものの数値は参考にならないが、前提条件の変化によって利用者数がどのくらい変化するかを把握することができるため、県が示した106万人という数値が、どのくらいに減るかを概算する参考になる。

前提条件が唯一明らかにされている札幌便を基に分析する。

(1) 県の設定した前提条件
@ 運賃
羽田 中部国際 静岡
業務目的 24,700円 27,725円 26,100円
観光等目的 17,078円 20,238円 21,000円

静岡空港の運賃
◎業務目的 羽田、名古屋の距離按分で通常運賃を出し、通常運賃と往復割引運賃(通常運賃の15%)の平均
◎観光等目的 類似空港の割引率26%を通常運賃に掛けて求める

A アクセス時間

羽田 中部国際 静岡
三島市 257分 307分 236分
静岡市 284分 285分 196分
浜松市 317分 251分 200分

それぞれ札幌までの所要時間(羽田90分、静岡100分、名古屋95分)を含めてあり、市中心部までの所要時間をぬいています(県の非公開のため)。そのため県の提示した時間とは異なります。

(2) 私たちの設定した前提条件
@ 運賃

羽田 中部国際 静岡
業務目的 24,700円 27,725円 31,600円
観光等目的 17,078円 20,238円 25,300円

静岡空港の運賃
◎業務目的 小松空港の運賃からの距離按分で通常運賃を出し、通常運賃と往復割引運賃(通常運賃の15%)の平均
◎観光等目的 類似空港の割引率26%を通常運賃に掛けて求める

グラフで静岡の右側が県の設定、左側が会の設定、その差6,000円

小松−札幌 31,000円(距離853キロ)

したがって、31,000:853=x:940(静岡−札幌の距離)

x≒34,200円、

静岡−札幌の通常運賃は、34,200円

34,100×0.85≒29,000円

静岡−札幌の往復割引運賃は、29,000円

(34,200+29,000)÷2≒31,600円

業務目的運賃は、31,600円(県は26,100円)

34,200×0.68≒25,300円

観光等目的運賃は、25,300円(県は21,000円)

これで見られるように、県は静岡空港の片道通常運賃を他の地方空港の運賃より、6000円程度安く設定している。


A アクセス時間

羽田 中部国際 静岡
三島市 242分 307分 236分
静岡市 266分 260分 196分
浜松市 288分 234分 200分

◎ 浜松市から品川開業にともなうひかり停車増発により、ひかりを利用する。
◎ 静岡についてもひかり利用とする。羽田行きについては、東京駅下車とし浜松町からモノレールを利用。
◎ 他駅のこだま利用については品川駅下車とし、県の京急蒲田での乗り換えの前提を改め、一般的な羽田までの直通電車を基に計算する。
◎ 羽田の飛行機乗換時間、55分を他空港並みの40分とする。


2 試算の結果
(1) 県と全く同じ前提条件

羽田 中部国際 静岡
業務目的 32,608人 6,795人 206,728人
観光等目的 52,323人 13,196人 204,348人
84,931人 19,991人 411,076人 100% 106万人

(2) 運賃のみを是正

羽田 中部国際 静岡
業務目的 68,372人 23,683人 154,075人
観光等目的 85,983人 28,481人 151,536人
154,355人 56,034人 305,611人 74.3%(25.7%減) 79万人

(3) 運賃に加えアクセス時間も是正

羽田 中部国際 静岡
業務目的 78,810人 28,481人 138,838人
観光等目的 98,614人 38,046人 133,208人
177,425人 66,527人 272,046人 66.2%(33.8%減) 70万人

3 結論
私たちが県の需要予測が過大となると指摘した三つの要因のうち、運賃、アクセス時間の二つを是正するだけで、県の106万人という予測は、70万人程度になると考えられる。さらに、便数の評価問題等前提条件の考慮やこれらによる需要減に伴う就航便数の減によって静岡空港が赤字となるのは必至である。よって、その補填のための税金投入はもちろんのこと、他の赤字空港と同じく自空港利用促進のための無駄な税金投入も必至である。