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需要予測に基づいて実施される「費用対効果分析」は、「事業に必要な建設費等の費用に対する便益等効果を社会経済的効率性の観点から分析するもの」で、その事業が社会的に不可欠なものかどうか、その事業の「公益性」をはかる重要なものである。
私たちは県の新需要予測において、それが過大となった主な原因を3つ指摘し、そのうち2つを加味しただけで70万人の利用者数に減少することを見てきた。その利用者数等に基づき、費用対効果の感度分析を行ってみる。
【6月11日修正】
県は、4月の需用予測検討委員会で承認された報告書案、そして5月に発行した静岡空港整備事業の費用対効果分析報告書、さらに今回の事業再評価委員会の資料とでいくつかの整合性のない数字等を提示してきたが、この中には県の計算の誤りによるものも含まれていた。
私たちはこれらの不整合を整理する過程で、需要予測検討委員会で承認された報告書案を基にしてしまったため、県と全く同様の誤りを犯した部分を発見しため費用対効果分析について一部加筆修正を行なった。(燃料税部分とそれに関わる部分の修正)
1 対象事業の概要
概要については県に準じるが、需要設定については、私たちの感度分析により、次の通りとする。
2 便益計測について
空港整備事業による便益は、利用者便益、供給者便益、残存価値の合計で計測する。
(1) 利用者便益について
利用者便益は、単年度ごとに整備有無別の需要と一般化費用を算出し、計算期間内で合算する。図における台形の面積を計算するものである。

ア 平均的一般化費用
全体の利用者便益と、当局資料、表1-4-9(P1-55)から開港年における静岡空港有り無しの地域間分布交通量を用いて加重平均的一般化費用を算出する。
Q0=518+391+125+100=1134
Q1=655+425+160+132=1372
Q1−Q0=238
138706=(1134+238/2)×ΔC
ΔC=110,699
ちなみに、全体の利用者便益における平均的需要曲線の傾きは以下のとおりとなる。
ΔC/ΔQ=0.4651218
イ 誘発需要量(Q1−Q0)が66.2%に減少した場合の利用者便益
ΔQ0.66(Q0からQ0.66)が、238千人×0.662ならば
ΔC0.66(C0からC0.66)は、110,699×0.662円
したがって、利用者便益は、
(1134+238×0.662/2)千人×(110,699×0.662)円
88,876百万円・人と算出される。

(2) 供給者便益について
供給者便益は、着陸料収入、航空機燃料税収入、地代等の収入と、維持補修費などの支出の差として算出する。
利用者数の変化に即した項目を計算し、あとは県の数字を採用する。ただし県は、県に対しての収支ではなく、4月の第5回需要等検討委員会で採用されていない航行援助施設利用料収入や航空路管制等にかかる費用、気象業務にかかる費用を算入しているが、とりあえずこれはのぞいて計算を行い、別途これを加えた額で費用対効果評価用の供給者便益を算出する。
ア 着陸料収入
私たちの感度分析によって、機材投入基準にしたがって着陸料を算出する。
906,000×365日=330,690,000円となる。
イ 燃料税収入
燃料税収入原単価1.08で計算(2000年・平成12年の航空燃料税歳入、国内線旅客総人キロで計算)
燃料譲与税(県分)として13百万円
ウ 供給者便益(県分)
私たちは「県民の実感からかけ離れた需要予測」の中で指摘したとおり、県が今回採用した維持補修費は、国のマニュアルの都合のいい加工であり、したがって前回の需要予測の維持補修費を採用した。

すなわち、維持補修費すなわち空港管理経費に着陸料収入をあてた場合189百万円、毎年約2億円の赤字が発生するお荷物空港であるということがわかる。また、県の直接的な税収を加味しても、1億6千万の赤字が借金利子とは別に発生する。
エ 航行援助施設利用料収入
小型 53×1670×8×365
中型 127×1670×2×365
よって、413百万円
オ 管制等業務
19.84×(10×365/10000)万回/年+0.9128×13時間=19.19→20人
20人×969万円+20人×969万円×117.6%=42170.8万円
422百万円
カ 気象等業務
73百万円(一定:県と同額)
キ 供給者便益総括

ク 期間累積供給者便益
2,767百万円
供給者便益比計が、157百万円のとき、これまで県が提出した分析結果のケースの傾向から期間累積を算定する。
3 費用便益分析の結果
「算出された費用便益比が1より大きいとき、社会経済的に見て効率的な事業と評価できる(「空港整備事業の費用対効果マニュアル」運輸省航空局監修1999)とある。
県の「報告書」では、「算出された費用便益比が大きいほど、社会経済的に見て効率的な事業と評価できる」と書き換えられている。
4 結論
静岡空港は費用対効果分析によれば、費用便益比が1を下回り、莫大な費用の割には県民サービスが向上しないムダな事業である。
一般化費用差の計算について
◎論旨
0.74の便益比はあくまで「県の需要曲線上のスタート地点W0を前提に」106万人から70万人に減った場合の試算にすぎず、県に有利な前提で計算している。(空港なしの場合のOD需要量にあたる一般化費用を県と同じと見ている= 空港なし時点の一般化費用は県設定の不便な地域でのものという設定のままである。)
しかし実際は、近隣空港に不利な設定によりC0点自体が割増されているものである。よって、本来は需要量だけでなく一般化費用の出発点にも運賃・価格の他空港に不利な設定の是正を行う必要がある。そこで、需要曲線上のW0点を下方に見直せば、傾き自体が緩やかになるが、静岡県においては近隣空港における利便性がもともと高いためOD需要量(トリップ数)の増加の割に一般化費用の減少は少ないと考えられる。すなわち、1トリップあたりの一般化費用減少額が低いと考えられる。
下表と、費用対効果の「報告書」P8の記述から静岡、浜松の一般化費用減少額は1/10になることから、静岡空港利用者1トリップあたりの利用者便益も県の1/10以下になると考えられる。よって、利用者便益自体が1割以下になり、費用便益比も0.1以下になるとも考えられるが、これについては今後精査・検討していきたい。
現時点では利用者が70万人となれば費用便益比が0.74以下となり、1を大きく下回るムダな公共事業であるということを指摘しておく。
◎計算
●県の前提条件設定の計算
(静岡→札幌)
(浜松→札幌)

●会の前提条件で計算
(静岡→札幌)

(浜松→札幌)
